蝉時雨(せみしぐれ)に包まれて―子どもたちのお点前体験

毎年ご好評をいただいている「伝統文化こども教室 茶道の部(表千家)」を、今年も開催いたしました。講師には、表千家清和会より熊谷宗光先生をはじめとする先生方をお迎えし、豊橋市三の丸会館内の茶室「千切庵」にて、8月1日、8日の2日間にわたって行われました。

初日は、床の間の拝見の仕方など、茶室への入室の流れとなる作法からスタート。慣れない正座に戸惑う子もいましたが、先生が「足を崩しても大丈夫ですよ」とやさしく声をかけてくださり、少しずつ表情も和らいでいきました。

子どもたちは、一人ひとり先生に見守られながら、お運びや抹茶のいただき方を丁寧に学んでいきます。黒文字を使い、大きな菓子器から自分のお懐紙にお菓子を取る所作も、緊張しながらも真剣そのもの。

季節を映した「若松園」の美しい上生菓子と、先生が点ててくださったお抹茶を味わう時間には、ほっと笑顔がこぼれました。
お茶を口にしたあと、先生が「お抹茶の味はどうですか?」と声をかけてくださると、少し苦そうな表情をする子も。そんな様子を見て、そっとお湯を足して味をやわらげてくださるなど、一人ひとりに寄り添ったご配慮が感じられました。

2日目は、初日の復習をしながら、いよいよお抹茶を自分で点てる体験へ。水屋では、初めて触れる茶筅をぎこちなく手に取り、先生に手を添えてもらいながら、どの子も一生懸命に抹茶を点てていました。

講座の最後には、みんなが庭園から躙り口(にじりぐち)をくぐって茶室へ入る体験も。少し照れながらも、次々と楽しそうに躙り口をくぐる子どもたちの姿に、見守る先生方のまなざしも自然とやわらぎます。

応募多数のため、参加は抽選制となりましたが、当選した子どもたちは、緊張しながらも楽しそうに茶道の世界を体験していました。

この講座は茶室のスペース上、保護者の方の見学はご遠慮いただいておりますが、こうしてレポートを通じて当日の様子が少しでも伝われば幸いです。

また来年、茶室での再会を楽しみにしています。


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