― はじめてのお茶会 ―
1月11日(日)、豊橋茶道クラブ月例茶会の初釜茶会が開かれました。
月例茶会は、豊橋茶道クラブに加盟する8流派が、毎月持ち回りでお席を担当しています。新しい年のはじまりとなる1月は、特別に「初釜茶会」として行われます。
今回のお席を担当されたのは、茶道宗徧吉田流さん。いつもの月例茶会は事前予約制で開催されることが多いのですが、今回は8席目を「はじめてのお茶会」と題し、説明や解説付きのお席として募集し、親子を中心に8組19名のみなさんが参加してくださいました。
三連休の中日で、街には成人式の振袖姿も見られる日。寒波の影響で、始まる頃には雪もちらちらと舞い、風情のある一日となりました。

お茶室へ
受付を終え、時間になると、いよいよお茶会のはじまりです。説明をしてくださるのは、茶道宗徧吉田流の西口先生。やわらかな笑顔で迎えてくださり、一組ずつお部屋へと案内されます。

お部屋に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、「瑞光」と書かれた、鮮やかな赤い掛け軸。

茶道宗徧吉田流の前会長によるもので、「瑞光」とは、めでたいしるしを表す光のことだそうです。筆で描かれた円は、見る人の気持ちをそのまま受け止める、禅に通じる宇宙観を表しているのこと。初日の出のようにも感じられました。
茶道のおはなし
はじめに、西口先生から、茶道と茶道宗徧吉田流についてのお話がありました。
ちょうど今年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の時代に、千利休が今につながる茶道の礎を築き、その孫・千宗旦の弟子である山田宗徧を吉田城の殿様が茶道指導のため吉田に招いたことが、現在の茶道宗徧吉田流へとつながっているのだそうです。ちなみに千宗旦の3人の子がそれぞれ表千家、裏千家、武者小路千家の三千家を興しています。

豊橋公園の中には、山田宗徧さんの邸宅があったことを伝える碑も残っているとのこと。こうして地元の歴史と結びついていると思うと、お茶の世界がぐっと身近に感じられます。
新春のしつらえ
今回のお茶会のテーマは「新春」。
床の間には掛け軸に加え、スイセンと梅の花が活けられていました。茶道では、お花屋さんの切り花ではなく、野にある花を用意するのだそうです。あぜ道などで見かけことも多いスイセンですが、こうして活けられると季節を象徴するような美しさが感じられます。

香合は、ころんとしたミカンの形。煙草盆も置かれていました。昔は実際に煙草を楽しみながら、ゆっくりとお席を待っていたそうですが、今では「どうぞごゆっくりお過ごしくださいね」という、心づかいのしるしとして残っているのだそうです。
今回使用したお釜は、室町時代のものだそう。お釜をはずし炉の中の炭も見学させてもらいました。昔、バーベキューで残った炭を使ってみたら、すぐ灰になって使えなかったという先生の失敗談も披露してくださいました。


お菓子とお抹茶
やがて、お菓子が運ばれてきました。今回のお菓子は若松園さんの「紅梅」。黒い器に、やさしいピンク色がしっかり映えてとても綺麗です。

お菓子の取り方の説明も、ひとつひとつ丁寧に。箸を使って取るのは少し緊張しますが、「右から順番に取ってくださいね。大きいのを選んだり、2個取ったりしないでくださいね(笑)」と冗談をまじえながらのお話に、みなさんの緊張もほどけていきます。
小さいお子様にとってはお菓子が少し大きく、お菓子が懐紙からポロっと落ちてしまう子もちらほら。
続いて、お抹茶が運ばれてきました。お茶碗の持ち方、飲み方もやさしく教えていただきます。小さな子どもたちも、大人と同じ濃さのお抹茶に挑戦。夏に開催している茶道子ども教室への参加者も多く、こちらは貫禄の飲みっぷりでした。

点心のお席へ
今回は初釜茶会ということもあり、続いて別のお部屋へ移動し、点心もいただきました。
点心は、ささやかな懐石料理のような軽食で、新春にふさわしく、ひとつひとつのお料理にお祝いの気持ちが込められています。味はもちろん、目にも楽しい華やかな盛りつけに、自然と笑顔がこぼれます。

ここで、茶道宗徧吉田流の亀山宗法会長もお越しくださり、改めて茶道宗徧吉田流の来歴からお道具についてのお話をしてくださいました。
飾られていた茶杓は千宗旦による作で、竹筒は山田宗徧の手によるものだそうです。さらに、山田宗徧作の抹茶茶碗も拝見させていただきました。いずれも大変貴重なお道具で、長い年月の中で大切に受け継がれてきたことが伝わってきます。


自然の素材に、茶道ならではの美意識が幾重にも積み重なり、大きな価値が生まれていく——。
不思議でありながら、日本文化の奥深さを感じさせる世界です。
おわりに
初釜茶会というと、少し敷居が高く感じられる方も多いかもしれません。
けれどこの日は、温かい笑顔のあふれる「はじめてのお茶会」でした。 雪の舞う冬の日に、お抹茶の湯気と、お道具のぬくもりと、人のやさしさに包まれたひとときとなり、「お茶っていいな」という気持ちがそっと残っていたらうれしいです。
